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全館空調に適した間取りとエアコンの設置位置を考える

 自邸に求めることは、千差万別だが、超私的には、年中快適な温湿度が維持できる高気密・高断熱住宅をオススメしたい。

 何故なら、絶対的に快適な生活を送れるからだ。

 厳寒の冬でも、薄着で過ごせる。薄い掛け布団で、眠る事ができる。お風呂に入る時、冷たく、体をヒヤッとすること事がない。寝起きすぐに部屋を移動する時も、寒さで体をこわばらせる事がまずない。足元も冷たくなく、体へのストレスが大幅に緩和されるため、心からリラックスできるのだ。これは、何者にも代え難い、満足感、幸福感がある。

 では、高気密高断熱住宅に必要なものは何か。

 それはエアコンだ。

 年中、快適な温湿度の維持に欠かせない。内壁を、漆喰や珪藻土などの自然素材にすることで、快適な湿度維持を謳う工務店も数多くあるが、塗り厚以上の調湿機能を求められないことや、経年に伴い、気泡スペースに溜まる埃や養分にカビが生える可能性もある。カビは、家人が家の建て替えを決める重要な要素になりうるもので、自邸には、出来るだけ排除したものだ。なので、漆喰や珪藻土といった内壁に塗る素材の調湿能力は、残念ながら、エアコンに遠く及ばない。

 そこで、今回は全館空調を可能にする間取りとエアコン選定・設置位置を考えたい。

結論

  • 1.全館空調を可能にする間取りは、オープンスペースを出来るだけ意識して儲けること
  • 2.エアコンは、直接人の体に当たらないオープンスペースに、1Fに暖房用2台、2Fに冷房用2台の複数台設置

する事が重要である。

1.全館空調を可能にする間取り

 無断熱であった築45年の旧邸は、各部屋に1台ずつのエアコンが設置されていた。いわゆる局所空調である。1部屋ごとの冷暖房は、稼働させるエアコンの数が多ければ多いほど、時間が長ければ長いほど、光熱費が嵩む。酷暑、厳寒期の旧邸の光熱費は、電気代+ガス代で約4万円ほど。高気密・高断熱の現在の自邸では、約2万円ほどと、コストは半減した。

 では、全館空調を可能にする間取りとは、どういうものだろうか。

 間取り上、重要な概念は、吹き抜け+階段スペースが大きな鍵となる。

株式会社イシカワ HPより転載

 上記イラストを参考にして欲しい。吹き抜けや階段スペースといったオープンスペースを、まず間取りに組み入れ、そのオープンスペースにエアコンを優先的に設置する。

 では、なぜ、オープンスペースにエアコンを設置するのか。

2.エアコンは、直接人の体に当たらないオープンスペースに、1Fに暖房用2台、2Fに冷房用2台の複数台設置

 エアコンをオープンスペースに設置する理由は何なのだろうか。 

 その最大の理由は、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するという、空気の特性があるからだ。その空気の特性を生かすために、上下階をつなぐオープンスペースが必要なのだ。そのオープンスペースにエアコンを設置することで、ムラなく空気を上下に移動させる事ができる。

 エアコンをオープンスペースに設置する理由は、もう一つある。それは、人の体に直接、暖気、冷気が当たらず、不快に感じないからだ。

 自身の体験から、振り返ってほしい。なぜ、エアコン嫌いが発生するのか。

 それは、自分の体に直接、暖かい風、冷たい風が、自分の意思とは関係なしに降り注ぐことにある。変温動物である人の体は、自分の意思ではない温度の変化に、敏感かつ嫌う傾向にある。職場でも、エアコンが直接当たる机の周りには、人が居ないのは、その為だ。

 では、エアコンの風が直接人の体にあたらないよう、間取り上エアコンをどのような場所に設置すれば良いのか。

 ここでも、コラボハウス 清家修吾さんの間取り集が、シミュレーションに役立つ。

 下記の2階建て間取りの場合、1階玄関ホールに1台(メイン稼働)、リビング南面に1台(サブ稼働)、2階は、階段ホールに1台(メイン稼働)、主寝室(サブ稼働)に1台設置する。

 理由は、メイン稼働の1階、2階共に、直接人の体に風があたらないこと、また、一番長い距離に風を運べることにある。室外機の位置や配管の長さ、ドレン管を下ろす位置、エアコンのメンテナンス(埃をとるなど)のしやすい場所かどうかも、配慮したい。

 では、何故各階2台ずつ設置するのか。それは、バックアップを備えることで、故障時にも、快適な温湿度を維持するためだ。

 高気密高断熱住宅は、酷暑時に、少しの日差しでも部屋に入れてしまうと、たちまち室温が上がる。

 そんな時に、エアコンが故障するとどうなるのか。たちまち灼熱地獄になる。修理・取り替え工事が、翌日着手できることは珍しく、大抵の場合、

1週間~2週間程度、待たなければならない。快適な自邸を建てたつもりが、たちまち住むのも辛い自邸に変化してしまうのだ。そういった事象を防ぐためにも、複数台のエアコン設置が必要なのだ。

 よく「1台のエアコンで、快適な住環境をご提供」などと謳う工務店を見かけるが、ホンマかいな、である。万が一の場合にも備えておく事が重要だ。