高機密高断熱住宅で、室温を適切に維持させるのに最も重要なことは、外部からの日射遮蔽である。外部遮蔽は、従前の日本でも、普通に行われてきた。窓の外側に簾をかけて、強い西陽を防ぐ、これが外部日射遮蔽である。
その外部日射遮蔽で、重要なことは3つある。
結論
- 1.長さ400㎜の庇+窓下にYKK グリーンバーを設置。
- 2.庇に簾を引っ掛け、下部のグリーンバーに簾を固定する。
- 3.窓ガラスは、すべて日射遮蔽タイプを選択。
もし、自邸に簾の設置が趣味に合わない場合は、
- 4.サンシェードの設置
する事をオススメしたい。
1.庇の役割
昭和の旧邸には、当たり前のように窓の上部に庇があったが、最近のお家には、庇そのものがない。お家のデザイン性や、手間暇がかかる上に、建材などのコストアップにも繋がるので、自邸建築の際も、打ち合わせをした2社の工務店やイシカワから、庇の設置を勧められたことは一度もなかった。
庇の役割は2つある。
- 1.窓周りの防水機能を高める
- 2.太陽から窓への直達日射を防ぐことができる。また、庇にフックを吊り下げることで、天空日射を防げる簾の設置が可能
庇のないお家の場合、雨が直接外壁に当たり、その雨は窓周りにも及ぶ。当然、窓周りの防水機能はあるが、経年劣化で徐々に失われていく可能性が高い。庇があれば、窓周りに雨がかかったり、雨水が窓周りに及ぶ可能性が格段に下がり、雨じまいが良くなる。
因みに、庇は、大工さんが作る手製のものと、YKKのコンバイザーのように、既製品の2種類ある。請け負う建築会社との相談にもよるが、できれば、大工さんの作る手製のもをオススメしたい。設置位置や窓周りの防水機能を意識した図面となるからだ。
庇の出が400㎜の大判タイプであれば、夏の窓への日差し(直達日射)を、庇でかわすことができる。軒の出1100㎜=庇の出400㎜の効果があるので、窓からの直達日射の侵入を防ぐことができる。
では、なぜ400㎜もの大判の庇が必要なのか。それは、夏の暑い時期である8月の太陽高度は、自分が思うほど高い位置にないからだ。
まだ涼しい夏至である6月20日前後で、10時30~13時30分の高度は70度から77度辺り。気温が最も高くなるお盆の頃の高度は、更に低くなり、10時30~13時30分の高度は60度から67度の間。その差10度も違えば、南側の短い庇の出では、直達日射を防ぐことはできない。当然東面と西面も、庇だけでは直達日射を防げない。なので、軒の出1100㎜に匹敵する400㎜の出の庇が必要なのだ。
ただ、庇だけで防ぐことはできない日射がある。それは、天空日射と呼ばれるものだ。
ここで、直達日射と天空日射の違いに触れたい。
直達日射とは、日向の光のこと。日向と日陰があれば、日向が直達日射と天空日射の両方が降り注ぐ側で、日陰は天空日射のみ。日陰でも明るいのは天空日射があるおかげで、天空日射のない宇宙空間では、直接太陽光が当たらない日陰のエリアは、夜のように真っ暗になる。
天空日射とは、太陽光が地球を覆う大気(塵・水蒸気を含む)に反射して散乱した光で、あらゆる方向からくるので日陰でも明るいのである。つまり光そのものを遮蔽しなければ、天空日射による熱流入は原則防ぐことはできない。
だから、外部遮蔽が必要になる。外部遮蔽の筆頭アイテムが、簾だ。
簾の利点は、
- 1.外からの視線を遮りつつも、外からの光を内に入れる事ができる。
- 2.経年劣化し、取り替えた場合のコストが、非常に安価で、気兼ねなく交換可能
上記2点が挙げられる。
2.自邸の場合の庇と簾の効果
では、自邸の2階の南面の窓に設置した庇+簾+簾止めのグリーンバーで、外部遮蔽が完璧にできたのか?
答えは、庇に簾を吊るす事ができず、外部遮蔽はサンシェードで行い、効果は十二分にあった。
特に、1階のコンクリートデッキに繋がる南面掃き出し窓に設置したサンシェードは、設置する前と比較し、窓越しに感じる熱気をほとんど感じなくなった。熱気対策でカーテンを閉める必要がなくなったため、外の明るさも維持され、非常に効果があった。
ちなみに、何故簾を庇に吊るす事ができなかったのか。
それは、庇が窓枠上部から随分離されて設置されたため、庇のフックに吊り下げて設置する事自体が難しくなったのだ。

図面上では分からなかったが、実際吊り下げようとすると、窓枠に足をかけて、手を随分と伸ばさないと難しい。台風が来て取り外しが必要になっても、おいそれと簡単に外し、また取り付けることが出来ないわけだ。「庇など必要ない」と、何度も主張し、最終的に建築を断られた2社目の工務店の嫌がらせが、ここに出ている。
なので、ブログ読者の皆さんには、私の失敗をぜひ回避してほしい。庇は、窓枠のすぐ上部に取り付けてほしい。